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久し振りに朝まで呑んだ。

しんどい時に酒を逃げ場にする知人に付き合っての席は、楽しくも居心地良くもない。

疲労困憊の明け方、空が白み出す直前に街灯の中で揺れる柳を見ていたら、愉快な酒しか呑まずに過ごした若かりし日々を、懐かしく思い出した。

民希という男がいた。

くだらない事ばかり言って周囲を和ませ、根拠のない自信に溢れ、自分の夢をおおいに語り、年寄り子供に優しく、良い奴だった。

協力者を見つけ出すのが得意で、民希の為なら一肌も二肌も脱ぐ連中をすぐに探し出して来た。


けれどお調子者の彼に呆れて、去って行った人間も少なくはなかった。人当たりが良かったので、集まる人も多かった筈だが、結局のところ最終的に彼には、本当に友達と呼べる人が、どれくらい残ったのか。

夢に向かう真摯な姿勢は、確かに人を惹き付ける。

けれど夢に向かう為の協力者を、かき集め、利用尽くしてしまうのはどうなのだろうか。

協力者と友人は違う。協力者は甘え過ぎて良い対象とは異なるのだと思う。


何をやらかしても笑って許してくれる友人は、身内の様に心地よく甘えさえてくれるだろう。

しかし協力者は、善意で力添えしてくれる言わば情の提供者だ。夢を共有出来る仲間を多く獲得し、協力者にも愛情を傾けて一緒に夢を追うのであれば、彼の夢は実現したかも知れなかった。

自分の周りで起きて居たことを、もう少し冷静に判断する力を民希が持っていたら…また、自分はこれで良いのだ、とする頑固さの中に、もう少し他人の考えや感情の機微を察知出来る心の襞のようなものを持てて居たら、酒を逃げ場にする人生に至る事もなかっただろうに…と思う。

得てして夢追い人は、自分の抱くビジョンに一生懸命であるが故に、周囲を巻き込む度合いに自覚が乏しい。

自らがこうであるのだから他者も同様だ…と考えるのは甘えだし、自己の夢の実現化に他者を巻き込んでも、そこに犠牲を強いるべきではない。


ゆらゆらと新芽を風になびかせる柳の枝を見ていたら、しなやかなバランス感覚で青春を謳歌していた頃の民希を思い出した。


★早紀さんより、送って頂きました。

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2009.05.04 Mon l 空コン3 l コメント (0) l top

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